『ダイスをころがせ!』 真保裕一
■『ダイスをころがせ!』 真保裕一 毎日新聞社 現代小説
『ホワイトアウト』など、緻密な取材に基づくハードボイルドミステリーで評価の高い真保氏が、この作品で挑んでいるのは「選挙戦」の世界です。
トラブルから会社を飛び出し、失意のうちに職安通いを続ける健一郎のもとに現れたのは高校時代の旧友・達彦。陸上部でのかつてのライバルは、健一郎に驚くべき決意を告げる。
「故郷の静岡に戻って、衆院選に出馬する。また俺と一緒に走ってくれないか?」
初めからあきらめていたら、何も変わらない。34歳の素人集団が国政を変える闘いに挑む。サイは投げられた─いや、サイは自分で投げるんだ!
現在の制度が持つ問題点を交えながら、選挙の現実が難しくなくスリリングに描かれていきます。また、物語の横糸となっているのは、選挙戦をともに闘う仲間たちの2度目の青春。34歳という微妙な年齢なりのしがらみに縛られつつも、新たなスタートを切る姿にあなたも熱くさせられることでしょう。
舞台となっているのはは静岡十区・秋浦市。もちろん架空の市ですが、浜松市から天竜川を越えた東に位置し、JRの駅と海浜公園がある設定なので、合併後の新しい磐田市のイメージと重なりますね。
真保氏曰く、「消費動向などで、日本の平均的数値が出やすい地域」というのが、静岡を舞台に選んだ理由だそうですが、「それ以外に深い意味はありません。」……あれ?
とはいえ、静岡県内の実在の街も次々と登場しますので、静岡県人ならより鮮やかに場面をイメージできるはずです。
表題の「ダイス」にこめられた意味は2つ。1つは人生を積極的に進める意志。もう1つが国民の手に握られた選挙権。「自分の一票をしっかり使うことから始めよう」というメッセージ、あなたはどうとらえますか?
【関連リンク】
⇒ 真保裕一氏の著作
⇒ 日本推理作家協会 [真保裕一氏が著書『連鎖』で受賞した「江戸川乱歩賞」を主催する団体です。 ]
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