【方言】第7回 ら
※このコーナーは静岡方言に関する勝手なコラムです。
今回とりあげますのは、静岡方言の横綱「ら」です。
「シンデレラが死んでるらぁ~?」
という静岡ならではのダジャレを成立させる「ら」「だら」は、
東京弁の「ろう」「だろう」に当たる確認・推定の語尾ですね。
静岡弁の中でも、腰くだけ度の高いやわらか方言と言えましょう。
「しゃんねーら?」などはまるでスペイン語かイタリア語のよう……
ハッ!? ……静岡は、柑橘類の採れる温暖な海沿い地域……
お祭り大好きサッカー大好きの陽気な県民性……そして「ら」……
私はここに、一つの仮説を提唱いたします!
「静岡県人=日本のらテン民族」説!!
これが当「腰くだけ方言講座」の達した結論です! ……だめ?
<by Ko>
【ら】[助動詞][確認・推定]
かなり特徴的な静岡方言の語尾である。意味としては上記の通り、「ろう」「だろう」に当たる確認・推定。「旅行、行くだろ?」の意味で「旅行、行くら?」と言ったら、「幾ら?」だと思われて「2泊で宿泊費は3万くらいかな」とリアクションされてしまった、などというエピソードが散見される。
上で例として出てくる「しゃんねーら?」は「しょうがない」あるいは「しょうもない」の意味を表す静岡方言「しゃんねえ」と語尾「ら」のあわせ技。「そんなこと、今言ったってしゃんねえら?」のように使い、「しょうがないだろ?」の意味になる。「シャンネーラ」と書くと「シャネル」とか「シャングリ・ラ(理想郷)」みたいでおしゃれだ。
「ちゃっきりぶし」の「あめづらぁよぉ~」という歌詞や、『ドカベン』トノマの「~ズラよ」というセリフのおかげで、他県では「静岡では『ずら』を使う」というイメージがあるらしいが、「ずら」は現在かなり廃れており、使うのはかなり年配の方である。
一方、ほぼおなじ意味の「ら」「だら」はまだまだ健在で、若年層でも日常的に使用する。県内の広い地域でメジャーだが、比較的西部で使用頻度が高いようだ。
「ら」と「だら」の使い分けはなかなか難しく、「行くら」とは言うが「行くだら」とは言わないだとか、微妙に意味が変ってくるだとか、地域によって違うだとか、様々な説が存在する。
静岡弁は全体的にふにゃっとした音のものが多く、ケンカでの使用には向かない方言だが、この「ら」はその最たるものであると言えるだろう。
<by Ko>
【関連リンク】
⇒ 静岡方言辞典『傑作! しぞーか弁』の紹介
こんにちは♪
「ら」と「だら」との使い分けについて、難しいと有りましたが、冷静に考えてみれば直ぐにお解りになると思うに☆ d(^ヮ^*)
a) 動詞・形容詞に続く場合は「ら」。
例:「君も行くら?」(動詞)
「未だ早いら。」(形容詞)
b) 名詞・形容動詞・終助詞「の・ん」に続く場合は「だら」。
例:「それはパソコンじゃなくてワープロだら。」(名詞)
「このお花、綺麗だら?」(形容動詞)
「君も行くんだら?」(助詞)
ね? 簡単だら?(⌒∇⌒*)
但し、終助詞の「の・ん」に続く場合には省略した用法が有って、「行くだら?」などとも言うづら。 通常の「(動詞)+ら」の場合との違いは、一旦標準語化してあげれば把握し易いと思うに。
◆「行くら?」→「行くでしょ?」(不確実な推定・確認)
◆「行くだら?=行くんだら?」→「行くんでしょ?」(ほぼ確実と思われる推定・確認)
っと、こんなトコだらね。
あと、こちら(浜松市)では「しゃんねー」とは決して言わず、言うのは「しょんねー」のみだに。
まぁ、地域差だでしょんねーんだらね。(^-^*)
投稿: ナイショ☆ | 2005年11月24日 (木) 16時05分
おおお。勉強になります。aとbの違いについては大体わかっていたのですが、不確定/確定については……なるほど……。いや、まだ皮膚感覚ではよくわかっていないので、正しく使える自信がありません。
目指せ、静岡弁マスター。
投稿: Ko | 2005年11月28日 (月) 11時49分
静岡県のHPで見つけました。
「こども家庭相談センター総合支援部診療所」の愛称は、公募により「あいら」と決定したそうです。
その選考理由がなんと:
あいが「愛」に通じ、クリニックの愛称にふさわしい。
静岡の方言「ら」から、「愛ら」⇒「愛が必要」、「愛がいいでしょう」につながり、親しみが持て、誰にでも覚えやすい。
「ら」は遠州弁で「みんな」の意味に使われていることから、発達障害の子どもや家族などを支援する「なかま」につながる。
という事でした。これって、静岡県のトリビアになりそうですね。
投稿: 愛だら~ | 2006年11月10日 (金) 21時48分
いまさらですが、この「ら」は、終止形接続の助動詞ですね。
動詞「する」+ら→するら
形容詞「硬い」+ら→硬いら
形容動詞「きれいだ」+ら→きれいだら
断定の助動詞「だ」+ら→だら
※「の」、「ん」につながる場合は「だら」になると勘違いしがちですが、実際は、「の」+「だ」+「ら」となります。
なので、正確には、「だら」という言葉は存在しないのです。
投稿: ×だら | 2007年1月 4日 (木) 00時38分
いまさらしつれいします。
「だら」は静岡弁ではなく、遠州弁ですね。
「朝、はやいんだら?」
のように疑問形でつかってます。
ちなみに語尾の「け?」も遠州弁。
投稿: k.y | 2009年6月 8日 (月) 22時42分
静岡では「無い」という言葉を「にゃー」と言う事がありますが、ここで静岡の「にゃー」と「ら」を使った合わせ言葉を1つ。
「にゃーって事はにゃーら」。
これは、部下に探し物を頼んだ上司が「ありませんでした」と報告を受けた後に言った言葉でして、「無いという事は無いだろう」という意味になります。
ちなみに探してくれと頼む時は、「探してくりょう」と言ってましたね。
投稿: 茶 | 2010年11月 7日 (日) 22時35分