長谷川 博(アホウドリ研究家)
長谷川 博(はせがわ・ひろし) アホウドリ研究家 1948年10月3日生
静岡のお茶農家の長男として生まれ、自然に囲まれて育ちました。小さい頃から山や川で昆虫を捕っていた少年は、県立静岡高校に進み生物部に入部します。野鳥に強く興味を持ち、早起きしてラジオで鳥の鳴き声を聞いたり、放課後や休日は鳥を探して山野を歩いたんだそうです。鳥を友達のように思い、いつしか鳥の研究を志すようになりました。
京都大学大学院在学中、アホウドリを研究するため来日したイギリス人・ティッケル博士と出会います。アホウドリは、全長約90センチの大型の海鳥で、別名「沖の太夫」と呼ばれています。東京から580キロ離れた伊豆諸島の鳥島には、かつてたくさんのアホウドリが住んでいましたが、羽毛採取目的の乱獲のため、当時絶滅の危機に瀕していました。「日本で繁殖するアホウドリの研究は、日本の鳥類学者の仕事だ。」博士の話に大いなる刺激を受けた長谷川氏。1976年、自ら鳥島に渡り、アホウドリ保護の活動を始めます。この時、鳥島での生息数はたったの69羽でした。
以来、アホウドリの研究・保護に携わって30年。彼が営巣地を整えるなどの努力を重ねた結果、現在では生息数は1000羽を超えたんだそうです。長谷川氏は今年、長年にわたるアホウドリの保護研究と、この種の復活への貢献により、都民文化栄誉賞、吉川英治文化賞、全米野生生物連盟自然保護功労賞などを受賞。「アホウドリ先生」は今日も、東邦大学理学部で教鞭をとりながら、アホウドリを通じて地球の環境改善を呼びかけています。
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アート系ブログに吉川英治の記事を書きまして、関連記事をたどって拝見にうかがいました。アホウドリ、わずか69羽から1000羽へですか。長谷川氏がいなかったら絶滅していたのですね。一人の人間の努力の尊さが思われます。よいエピソードをありがとうございました。
投稿: Dr.アート | 2005年12月20日 (火) 10時42分