遠州空っ風とその暮らし
アジア大陸の東にある日本列島には、秋から冬にかけてアジア大陸から太平洋に向かって北西の季節風(モンスーン)が吹きます。
大陸からの季節風は基本乾燥していますが、日本海を流れる暖流の対馬海流の影響を受け、水蒸気を多く含んだ湿った季節風へと変化。
この湿った季節風により日本海側に大雪がもたらされます。
日本海側に大雪を降らせた季節風は、日本中央にそびえる日本アルプスといった3000メートル級の高い山地を乗り越えて太平洋側にやってきます。
その際、日本海側で水分を使い切ってしまい、太平洋側では、湿り気の少ない乾ききった空気になって、南アルプスから海に向かって吹き降りてきます。
この乾ききった北西の季節風を「遠州空っ風」と呼び、御前崎付近では10m/s以上の強風が吹くこともあるそうです。
平野部の広い西部は、特に風が強いことがあります。
そんな風の強いこの地方では、「ホソバ囲い」と呼ばれる独特の生け垣で住宅を守ってきました。
ホソバで作られた生け垣は、風が葉や枝などが込み入ったホソバの中を通ることで、風の力を弱め、まるでスポンジで吸収するかのようにほとんど無風に近い状態にする効果があるというスグレモノ。
ホソバは燃えにくいため、火災が燃え広がるのを防ぐ効果もあるらしいです。
最近では住宅の質が上がり、ホソバ囲いの住宅も少なくなってきました。
先人の知恵とも呼べるホソバ囲いの知恵は、大切な地域文化とて守っていきたいものですね。
(by 静岡星人)情報提供元:a・un
コメント