交差点でぐるりと回る「ラウンドアバウト」を焼津市が静岡初試験導入!
ラウンドアバウトとは、イギリスやニュージランドなどの英連邦をはじめとした欧米諸国に多く見られる円形交差点の一種。
日本の道路交通法では「環状交差点」という名で、その通行ルールが定められています。
大きな特徴は前述したとおり信号機がないこと。
そのため、ほかにクルマがいないのに赤信号で待たされるといった時間の無駄を省くことができます。
また、災害などによって停電が起きたとしても、信号機に頼らない円滑な交通が可能です。
さらにその構造上、交差点に進入するクルマは速度を落とさなくてはならず、万一交差点内で接触を起こしても重大な事故に繋がらないことが期待されています。
今回、このラウンドアバウトが実験導入されたのは焼津市関方にある交差点。
緑のポイントが指す場所です。
このあたりは水田が多く比較的見通しのよい場所ではありますが、焼津市と藤枝市を結ぶ生活道路となっていて、意外と交通量が多いのが特徴です。
こちらの交差点は、信号機がない上、交差する2本の道路の優先順位がわかりにくく、平成20~24年の5年間で出会い頭の事故が5件も発生していました。
また、見通しのよさが災いしてスピードを出し過ぎるケースも多く、重大事故につながるリスクも懸念されていました。
そこで図面のような工事を行い、ラウンドアバウトを設置したというわけです。
真ん中に丸いスペースがありますが、この部分を「中央島」と呼び、車両はすべてこの中央島のまわりを時計回りに走行することになります。
また、その円形の走行帯を「環道」といいます。
交差点に進入する車両よりも、この環道を走る車両が優先されます。
つまり、交差点に進入しようとしたとき、右から回ってくる車両があったら通り過ぎるまで待たなくてはなりません。
右折したい場合を例に説明します。
まず、ラウンドアバウトに差し掛かった車両はすべて停止線で一時停止します。
国によっては一時停止しない地域もありますが、日本では必ず一時停止すると思って差し支えないでしょう。
一時停止をして右から回ってくる車両がないことを確認したら、左折で環道に進入します。時計回りの一方通行ですから右折進入はできません。
そして、向かいたい方向(出口)に近づいたら左ウインカーを出して離脱します。
万が一、出るのに失敗した場合はあわてずにもう一周してやり直します。
自転車も基本的にクルマと同じ通行方法となります。
一方、歩行者の場合は、外周部の歩道(上の図の青い部分)や横断歩道を通行することとなります。
社会実験中は中央島の中に誘導係の人がいます。
迷っている車両にはアドバイスをくれますが、何も知らずにはじめてこの交差点に来てしまった人は少し戸惑うかもしれませんね。
誘導係の人に話を聞いてみたところ、よく目立つ間違いは一時停止のし忘れだそうです。
また、右折したいクルマが環道内に右折進入しようとするケースもときどきあるとか。
今後、ラウンドアバウトが普及して、その通行ルールが広く定着するようになれば、こうした混乱も少なくなり、本来のメリットが生きてくるのではないでしょうか。
焼津市では、当初2月14日までとしていたこの社会実験を9月末まで延長。
期間中は現地でのビデオ撮影やアンケート調査などを行い、その有用性や課題点などを引き続き検証していく予定です。
興味のある方は期間中に一度体験してみてはいかがでしょうか?
■焼津市ラウンドアバウト社会実験協議会
事務局:焼津市 都市基盤部 道路課
054-626-2109
(by 静岡漫画研究所)
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