新幹線など高速鉄道技術の進歩を伝える「リニア・鉄道館」。家族で行きたい、“夢と思い出”に出会う場所
静岡や愛知に住むわたしたちにとってなじみ深く、また欠かせない交通機関である東海道新幹線。2024年10月1日に開業60周年を迎え、停車駅各地で記念イベントが開催されるなど、お祝いムードに包まれています。
JR名古屋駅から名古屋臨海高速鉄道あおなみ線で24分、金城ふ頭(きんじょうふとう)駅からすぐの場所にあるのが、JR東海の企業ミュージアム「リニア・鉄道館」。
歴代の新幹線や蒸気機関車の実物車両展示、新幹線や在来線の運転を体験できるシミュレータ、高速鉄道の技術の進歩、超電導リニアの解説など、コアな鉄道ファン以外も興味を惹かれる見どころたっぷりの施設です。
取材に訪れた日は平日でしたが、開館前からすでに子ども連れのファミリーなど来館者の姿が。土日や祝日は東海エリア外から訪れる人や外国人観光客、観光ツアーの団体など、開館前に数十人の列ができることも珍しくないそうです。
平日の午後は比較的館内にゆとりがあるそうですが、館内をひと通り見て回るのなら3時間くらいは見積もっておきたいところ。時間に余裕をもって訪れましょう。
リニア・鉄道館は2階建て。1階には39両もの実物車両の展示とシミュレータ、超電導リニアの展示室、ジオラマ展示があります。
エントランスを入ってすぐの場所で出迎えてくれるのは、C62形式蒸気機関車、955形新幹線試験電車(300X)、超電導リニアMLX01-1の3両。いずれも世界最高速度を記録した実績を持つ、高速鉄道を象徴する車両です。
美しささえ感じさせる蒸気機関車の車輪は、ついじっくり眺めてしまうほどの精巧さ。開業が待ち遠しい超電導リニアは、車両の中に入って見学することができます。これも貴重な体験です。
奥に進むと、鉄道の歴史を物語る車両がそろい踏み!
0系から700系までの歴代新幹線をはじめ、新幹線のお医者さん・ドクターイエロー、かつて人々の生活を支えていた在来線、貴重な木製電車など39両の実物車両がズラリと並ぶさまは、圧巻の一言です。
リニア・鉄道館の展示車両には、速度や車両の特徴などを記したパネルが添えられています。活躍していた年代や地域も書かれているので、「初めて乗った新幹線はこれだったかも」「自宅の近くには昔、この列車が走っていたのか」と思いを巡らせるのも楽しみ方の1つと言えるでしょう。
子どもたちが目を輝かせていたのが、ハンドルを回したり実際に手を触れたりして、鉄道のしくみを体感できるコーナー。
積み木で作るアーチ橋は、子ども以上に夢中になる大人の姿も。家族で一緒に楽しめる展示がそこかしこに用意されています。
リニア・鉄道館で子どもに人気のコーナーといえば、シミュレータと鉄道ジオラマ。
シミュレータは3種類で、新幹線の運転体験と在来線の車掌体験(どちらも1回税込500円)は、事前に総合案内で利用券を購入しておく必要があります。人気なうえに先着順かつ時間指定制なので、お目当ての体験がある場合は、入館と同時に購入しておきましょう。
在来線の運転体験(1回税込100円)は、体験コーナーの入口にある券売機でチケットを購入し、そのまま列に並んで体験できます。
もう1つの人気コーナーは、東海道新幹線沿線などの風景と、そこに暮らす人々の姿を再現した鉄道ジオラマ。1時間に2回、約20分間にわたって「鉄道の24時間」の演出を見ることができます。
ジオラマには登呂遺跡や三保松原、名古屋城など県民にとっておなじみの名所が表現されていて、親近感たっぷり。
ジオラマショーは同時にいくつもの車両が走り、場所によって見え方が異なるのが魅力の1つ。見る場所を変えて、何度も楽しみたくなります。
リニア・鉄道館には、じっくりと鉄道のしくみや歴史に触れられる展示もいっぱい。
シミュレータや鉄道ジオラマとは逆サイドの壁面では、鉄道の安全・速さ・切符のしくみを模型やパネル、映像で解説しています。一日に発着する東海道新幹線の本数の多さには、驚きを超えて尊敬すら覚えるほど。
在来線シミュレータの隣にあるのが、超電導リニア展示室。リニアの最大の特徴ともいえる車体が浮き上がるしくみや、これまでの歩みが紹介されているほか、最大速度時速500kmというリニアのスピードを体感できるミニシアターでは、リニア車両の一部をイメージした室内で、山梨リニア実験線の迫力あるCG映像による走行体験ができます。
2階では、期間限定の企画展も見ることができます。
2025年1月まで開催されている企画展は2つ。そのうちの1つ「新幹線開業60周年展 企画展」は、東海道新幹線と同じ1964年生まれのSFマンガ「サイボーグ009」とのコラボ企画です。
東海道新幹線と「サイボーグ009」の主人公・島村ジョーと並んで風を切って走りたくなるフォトスポットのほか、マンガの中で新幹線が登場するシーンの複製原画や、東海道新幹線と「サイボーグ009」の歴史年表などを展示。「サイボーグ009」を初めて見る人も、マンガに描かれる新幹線の姿や、複製原画からにじみ出るマンガ制作現場の臨場感に、きっとワクワクしちゃいますよ。
もう1つの企画展は、リニア・鉄道館の1階に常設展示されている2両の蒸気機関車をフィーチャーした「リニア・鉄道館の蒸気機関車たち ~貴婦人とシロクニ~」。
1階エントランスを入ると最初にお目見えするC62形式蒸気機関車・通称「シロクニ」と、シュッとした見た目から「貴婦人」と呼ばれるC57形式蒸気機関車の歴史や、蒸気機関車の誕生秘話が紹介されています。
おいたちや歩みを知ったあと、もう一度1階の実物車両を見ると、蒸気機関車の新たな魅力に気づくはず。
吹き抜けになった2階から見下ろす車両ラインナップも壮観です。
2階には飲食ができるエリアがいくつか設けられています。デリカステーションでは、リニア・鉄道館限定の「Dr.Yellow lunch box(ドクターイエローランチボックス)」などのお弁当や飲みものも販売しています。
1階の屋外に展示されている新幹線・N700系車両も飲食可能エリア。グリーン車両でお弁当を食べれば、ぜいたくな新幹線ピクニック気分が楽しめますね。
リニア・鉄道館を楽しみつくした記憶と思い出は、おみやげとともに持ち帰りましょう。1階・出口ゲートの外にあるミュージアムショップには、ここでしか購入できないオリジナルグッズも数多くそろっています。
展示車両が刻印されたメダルも限定グッズの1つで、ショップで1・2を争う人気アイテム。
コイン型と楕円形の2種類があり、コイン型タイプは裏に来館日の日付と名前を刻印できます。まさに思い出を刻む唯一無二のおみやげです。
1階の展示車両をかたどった手のひらサイズのシールも、リニア・鉄道館でしか購入できない限定グッズ。
細かなディテールまでていねいに描かれた車両は、写真ではなくすべてイラストだというから驚き!キラキラとしたホログラムと車両の形に抜かれたダイカットが、かっこいい車両をかわいらしく演出しています。
数ある食品の中でも常に人気なのが「ドクターイエローふりかけ」。車両形の箱に、のり玉子味のふりかけが10袋入っています。
新幹線、線路、鉄橋など、鉄道に関するモチーフに型抜きされたのりがかわいい!自宅で楽しむのはもちろん、1袋ずつ配りやすい“おくばりみやげ”としても人気なのだそう。
新幹線の歴史に自分自身の思い出を重ね合わせたり、超電導リニアと子どもたちのこれからに思いを馳せたり、運転体験で子どもと一緒にはしゃいだり。
ノスタルジーと最先端、そして未来への期待が共存するリニア・鉄道館。2世代・3世代で訪れる人が多いのも納得です。
【住所】愛知県名古屋市港区金城ふ頭3-2-2
【電話番号】052-389-6100
【営業時間】10:00~17:30(最終入館17:00)
【定休日】火曜(祝日の場合は翌日)、12月28日~1月1日
【駐車場】なし(近隣に名古屋市営金城ふ頭駐車場(有料)あり)
【料金】入館料大人1000円、小中高生500円、3歳以上の未就学児200円、3歳未満無料 ※シミュレータ利用料は別途
※価格はすべて税込です
[Text・Photo by 櫻井美江(くふうしずおか)]
※掲載内容は2024年10月時点での情報に基づいており、最新の情報とは異なる場合があります。
※当社では、各店舗・施設・イベント等に関する個別のお問い合わせにはお応え致しかねますのでご了承ください。
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