
※このコーナーは静岡方言に関する勝手なコラムです。
今回とりあげますのは、静岡方言の横綱「ら」です。
「シンデレラが死んでるらぁ~?」
という静岡ならではのダジャレを成立させる「ら」「だら」は、
東京弁の「ろう」「だろう」に当たる確認・推定の語尾ですね。
静岡弁の中でも、腰くだけ度の高いやわらか方言と言えましょう。
「しゃんねーら?」などはまるでスペイン語かイタリア語のよう……
ハッ!? ……静岡は、柑橘類の採れる温暖な海沿い地域……
お祭り大好きサッカー大好きの陽気な県民性……そして「ら」……
私はここに、一つの仮説を提唱いたします!
「静岡県人=日本のらテン民族」説!!
これが当「腰くだけ方言講座」の達した結論です! ……だめ?
<by Ko>
【ら】[助動詞][確認・推定]
かなり特徴的な静岡方言の語尾である。意味としては上記の通り、「ろう」「だろう」に当たる確認・推定。「旅行、行くだろ?」の意味で「旅行、行くら?」と言ったら、「幾ら?」だと思われて「2泊で宿泊費は3万くらいかな」とリアクションされてしまった、などというエピソードが散見される。
上で例として出てくる「しゃんねーら?」は「しょうがない」あるいは「しょうもない」の意味を表す静岡方言「しゃんねえ」と語尾「ら」のあわせ技。「そんなこと、今言ったってしゃんねえら?」のように使い、「しょうがないだろ?」の意味になる。「シャンネーラ」と書くと「シャネル」とか「シャングリ・ラ(理想郷)」みたいでおしゃれだ。
「ちゃっきりぶし」の「あめづらぁよぉ~」という歌詞や、『ドカベン』トノマの「~ズラよ」というセリフのおかげで、他県では「静岡では『ずら』を使う」というイメージがあるらしいが、「ずら」は現在かなり廃れており、使うのはかなり年配の方である。
一方、ほぼおなじ意味の「ら」「だら」はまだまだ健在で、若年層でも日常的に使用する。県内の広い地域でメジャーだが、比較的西部で使用頻度が高いようだ。
「ら」と「だら」の使い分けはなかなか難しく、「行くら」とは言うが「行くだら」とは言わないだとか、微妙に意味が変ってくるだとか、地域によって違うだとか、様々な説が存在する。
静岡弁は全体的にふにゃっとした音のものが多く、ケンカでの使用には向かない方言だが、この「ら」はその最たるものであると言えるだろう。
<by Ko>
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【関連リンク】
⇒ 静岡方言辞典『傑作! しぞーか弁』の紹介
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